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3 ジュゴンの体のしくみ(外側)

ジュゴンの体

A 体長、体重

 成長したジュゴンは、体長3メートル、体重400キロ。(ギネスブックによれば、1959年7月23日にインドで捕獲されたメスの4.06メートル、1トンのものが最大)

B 鳴き声

 鳴き声はヒヨコのようで、「ピーピー」「ピョーピョー」。仲間同士のコミュニケーションのために使われているのかどうか、まだ不明です。

C 呼吸

 3〜5分に1回、長くて11分に1回の割合で呼吸をします。眠っている時は8 分に1回の割合です。

 水面に鼻を出し、普段は閉じている鼻の穴をガバッと開けて、1.5〜3.0秒の間に深呼吸をします。人間の深呼吸は、肺容積の30%しか交換できませんが、ジュゴンやイルカは90%を交換できます。

D 目、鼻

 皮膚と耳の感覚の鋭さに比べて、目・鼻の感覚は鈍いようです。

E 耳

 耳はとても小さな穴で、外からは見えにくいのですが、聴覚は大変発達しています。鼓膜は人間の8倍もあります。

F 体毛

 海牛目(特にジュゴン)は、一見大理石のような皮膚をしていますが、よく見ると体毛がまばらに生えています。体毛には2種類あり、普通の毛と、洞毛(剛毛ともいう)に分かれます。

 洞毛はつまようじ位の太さで、長さは1.5〜2.0センチほど。触覚毛の一種なので、大変に感度が良く、人間が口の中の砂粒を舌の先で感じ取ってはじき出したり、鼻の毛で細かいチリをキャッチできるのと同じ働きです。海牛目の顔面には洞毛が生えていて、エサを探したり選んだりする時に役立てます。ジュゴンにとって最も大切な感覚器官です。

 洞毛は人間にはありません(鼻の毛は洞毛ではない)が、多くのホ乳動物綱は顔面に生えています。海牛目の特徴は、洞毛が顔面だけでなく、体中(特に背中)に生えているため、洞毛を介して、皮膚感覚が鋭く、デリケートな動物であることです。フロリダマナティーがレジャーボートのスクリューで背中や尾ビレをザックリと裂かれる事故がアメリカで問題になっていますが、ひときわ痛い思いをしていることでしょう。

 なお、鯨目には体毛はほとんどなく、人間も一部を残して体毛は退化しています。

G 尾ビレ

 尾ビレには骨はありません。

H 泳ぐスピード

 人間が足ヒレを付けて泳ぐ程度のゆっくりさ。危険が迫ると、時速20〜30キロで泳ぎます。

I 後足

 後足は退化し、体内に吸収されていて、外からはわかりません。

J 生殖器

 オス、メスの区別は外見からはわかりません。

 オスのペニスは、普段は体内に小さく引き込まれています。性的興奮をして大きくなると馬並のサイズになります。形は人間に近いです。

K 皮膚

 色は、灰または白色。皮膚の質は厚くて硬く、表面はゾウのようにザラザラしています。しかし、厚い割に保温の役には立たないようで、水温が20℃以下になるとジュゴンは死んでしまいます。これはマナティーも同じです。ただし、絶滅したステラーカイギュウは、シベリアとアラスカの間にある寒いベーリング海に住んでいました。

 長時間ジュゴンを水から出しておくと、皮膚が乾き、命とりになります。

L 乳首

 胸ビレのつけ根に親指大であります。

M 胸ビレ

 胸ビレはX線を通してみると、5本の指骨に分かれています。昔、陸上で4本足で生活していた名残です。

N 歯

 歯は上アゴに16本、下アゴに20本、合計36本です。

 ジュゴンの歯は、おろし金のようになっていて、すりつぶすようにして海藻を食べます。歯は水平交換され、常に新しい歯に生え変わります。これはゾウと海牛目だけに見られる珍しい特徴です。老年になるまでこれは続きます。

O 牙

 オス、メス共に上アゴに一対2本の牙があり、その年輪よりジュゴンの年齢を知ることができます。牙の全長は20センチ程ですが、大半が歯肉に埋もれているので、表に出ている部分は4〜5センチです。メスの牙は表に出ないことがほとんどです。

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