[0] [1] [2] [3] [4] [5] [6] [7] [8] [9] [10]

4 ジュゴンの体のしくみ(内側)

a 消化器官(腸)

 完全草食獣であるのに、体型は肥満型です。このことは、裏を返せば、長い消化器官を使って、海藻から栄養を吸収する能力がとても発達していることを意味しています。そのうえ、海藻は繊維質が多いですから、ジュゴンの腸は太くて長く、体長の10倍以上もあります。

 食べたものを時間をかけて消化するので、体内でガスが発生しやすく、オナラをひんぱんにします。また、海藻を食べてから、大便として出すまでに、7〜10日もかかるそうです。鳥羽水族館のジュゴンは、体調の良い日は水中に沈む硬い大便をし、体調の悪い日は水面に浮く柔らかい大便をするそうです。

 水族館で飼われているジュゴンは、ストレスがたまったり、運動不足で消化不良を起こしやすく、体内にガスがたまって、よく病気になります。それがジュゴンの人工飼育を難しくしているのです。消化器官が長いということは、それだけ消化不良を起こしやすいということなのです。もし、名護市・辺野古の海に巨大へリポート基地ができてしまうと、その爆音が聴覚のいいジュゴンへ与えるストレスの大きさには、計り知れないものがあります。

 ところで、動物というものは、草食獣か肉食獣かによって消化器官の長さに違いが生じます。人間でも、狩猟民族の欧米人の腸は7メートルですが、より多く植物を食べる日本人は消化に時間をかけるため、腸は10メートルにもなります。もし日本人の食生活が、欧米人なみの肉食中心に変わるとすると、腸が7メートルに進化(退化?)するのに1億5000万年もかかってしまうそうです。

b 骨

 骨はち密で重たいので、水中で浮力を落とすのに役立っています。海牛目の学名Pachyostosis (パクヨストシス) は、「ち密な骨」を意味しています。ろっ骨は象牙の代用となるくらいの硬さです。

c 血

 ジュゴンの血は固まりやすい性質なので、傷を受けた時でも、すばやく傷口をふさいでしまいます。

d 脳

 ジュゴンの脳には、人間やイルカのようなしわが少なく、知能は低いようです。

表紙へ   前ページへ   次ページへ